先月下旬の東京マラソンで、走行中に倒れて意識不明になったタレントの松村邦洋さん(41)が、AED(自動体外式除細動器)によって一命を取り留めたことが話題になった。AEDってどんな装置なの? 東京都の同マラソン大会本部によると、松村さんは、号砲が鳴ってから約2時間半後、約15キロ地点で立ち止まり、崩れるように倒れて意識を失った。心拍、呼吸が止まっており、ただちに近くを自転車で走っていた救護隊が駆けつけ、AEDを使用。松村さんは心拍が戻り、病院に搬送。今月3日、無事退院した。 マラソンのような激しい運動は心臓に大きな負担がかかる。心筋梗塞(こうそく)などから、全身に血液を送り出す心臓の心室が不規則に細かく震える心室細動を起こしやすい。心臓のポンプ機能が失われ、救命率は心停止から1分ごとに約10%ずつ低下する。 そこで、心臓に電気ショックを与え、心室細動を取り除くのが「除細動」だ。 AEDは、縦横20〜30センチ四方(重さ2、3キロ)の本体と、シート状の電極パッドからなる。本体から流れる音声に従ってパッドを患者の胸に張り付けると、装置が自動的に心電図を解析し、心室細動が起きていると判断した場合にのみ、電気が流れる仕組みだ。 以前は医療従事者しか使えなかったが、2004年7月、一般人にも使用が認められた。電器店などでも売られ、1台30〜40万円程度で個人でも買える。学校や空港、駅などに広く置かれるようになり、設置台数は9万台以上という。 約3万5000人のランナーが参加した東京マラソンでは、約1キロおきにボランティアがAEDを持って待機。松村さんを救ったAEDを背負った自転車隊も加え、計61台で万が一の事態に備えていた。実は一昨年の第1回大会でも、2人のランナーがAEDで命を救われている。 総務省消防庁の07年の調査では、心肺停止の人に対し一般市民がAEDを使った場合、1か月後の生存率は42・5%で、行わなかった場合の9・7%に比べ、4倍以上の高い救命効果を発揮した。 不整脈に詳しい東京都済生会中央病院(東京都港区)副院長の三田村秀雄さん(循環器内科)は「松村さんのように肥満の人は、心室細動を起こしやすいので無理しないで」と注意を促す。運動前には〈1〉胸痛や脈の乱れはないか〈2〉十分な睡眠を取ったか〈3〉風邪を引いていないか――などのチェックが肝心だ。(医療情報部 坂上博) http://www.yomiuri.co.jp/iryou/feature/20090409-OYT8T00514.htm
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