青い地球と星空に包まれた国際宇宙ステーション(ISS)。美しい光景とは裏腹に船外は真空で、宇宙ごみも飛び交う過酷な環境だ。トラブルが起きても簡単には地球へ戻れない。長期滞在の飛行士は危険と隣り合わせの生活だ。 地球の周囲では、人工衛星の残骸(ざんがい)などの宇宙ごみや隕石(いんせき)が、秒速数キロの猛スピードで飛んでいる。先週は米露の衛星同士が衝突し、大量の破片が飛び散った。高度はISSの約2倍と離れていたものの、接近していれば大きな脅威になりかねない。 ISSは直径1センチ以下の物体なら衝突しても耐えられるが、1センチを超えると船体に穴が開き、空気が漏れ出す恐れがある。10センチ以上の場合は地上観測で衝突を予測し、ISSの軌道変更で回避できるので、中間の数センチが危険ゾーンだ。 実際に衝突したら、どうなるのか。日本実験棟「きぼう」の場合、約10センチの穴が開くと、船内の気圧は3分20秒後には0・7気圧まで急低下する。警報アラームが鳴り、飛行士は穴が開いた棟の扉を閉めて別棟に避難。船外活動で穴をふさぐ緊急任務に迫られる。 ◇ 数カ月に及ぶ長期滞在では、精神的なストレスで飛行士がトラブルを起こす可能性もある。仲間を殴ってけがをさせたり、機器を壊すなどした場合は、どう対処するのだろうか。 2011年に長期滞在する古川聡さんは外科医だが、ISSに医師の飛行士は常駐していない。このため今回の滞在中は、若田光一さんが医療責任者として応急処置を担当する。若田さんは傷口の縫合や注射などの訓練を地上で行った。 応急処置には備え付けの救急セットや酸素吸入器、自動体外式除細動器(AED)などを使用。症状が重ければ、待機しているロシアのソユーズ宇宙船で緊急帰還させる。 事件を起こした飛行士を傷害容疑などで立件する場合、ISS計画の参加15カ国の協定により、原則として容疑者の国籍国が帰還後の公判手続きを行う。青木節子・慶応大教授(宇宙法)は「参加国に施設の領有権はないが、きぼうの装置が故意に壊された場合、日本は飛行士に損害賠償を請求できる」と話す。 飛行士は高い協調性を持った人が選ばれるので、このような事件が起きる可能性はわずかだ。だが万一に備え、長期滞在メンバーは1年以上の訓練で相性をチェックされ、組み合わせが変更されることもある。 ◇ 一方、火災は煙の充満を招くため、船体には燃えにくい素材を使用。各部屋の入り口には消火器と酸素マスクが備えてある。コンピューターのウイルス対策も重要だ。侵入防止のため、システム全体を外部から独立させているが、昨年はノート型パソコンからウイルスが見つかった。 ただ、あらゆる危険を想定するとシステムが複雑化し、かえって故障の可能性が高まる。このため不測の事態は地上との連携で臨機応変に対処。それでも生命の危機が生じたら全員が緊急帰還し、最悪の場合はISSを放棄することになる。(小野晋史) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090218-00000091-san-soci
|