| 阪神・淡路大震災での医療ボランティア活動を機に、古里西脇市で診療所を開業した医師冨原均さん(58)=同市高田井町=が、北播地域を中心に兵庫県内各地で救命措置の講習会を続けている。昨年末までに五百七十回を超え、受講者は数万人に。「人の命は人が救う。技術よりも助けたいと思う心を育てたい」。講習を通じ被災地での経験を伝えている。(篠原佳也) 震災当時、順天堂大学医学部付属静岡病院の救命救急センター(静岡県)に勤務していた冨原さんは、同県医療ボランティアチームの一員として神戸市灘区に入った。 公園でテント生活をしている住民の診察に回っていた時、ある女性が温かい雑煮を出してくれた。「被災者じゃないから」と断ったが、再び訪れると「今度こそ食べて」と強く勧められた。冷めた弁当を食べながらの活動の中で出合った温かい食べ物。人のぬくもりに涙がこぼれた。 「人生観が変わった。地域医療に携わり、こんな人たちを助けたいと強く思った」。冨原さんは助教授就任の打診を断り、西脇市に戻り、一年半後、循環器科・内科の診療所を開業した。 診察を通し地域住民と接する中で、呼吸や心臓が停止した患者への救命措置「心肺蘇生(そせい)法」があまり知られていないことにショックを受ける。「これでは助かる命も助からない」と一九九七年から、地元の自主防災組織や学校、老人会で救命措置講習を始めた。 二〇〇二年からは北播磨県民局が開く中学生向け講座「命の教育」で、自動体外式除細動器(AED)の操作方法などを指導。県内各地から招かれるようになった講習会は昨年までの十二年間で五百七十四回を数える。冨原さんは「安全で安心な地域を実現するため、震災で学んだ共助の精神を広めていきたい」と話している。 http://www.kobe-np.co.jp/news/touban/0001648847.shtml
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