| 昨年1年間に全国の消防署などが実施した救命救急の講習会の参加者が約157万人に上り、過去最高となったことが総務省消防庁の調べで分かった。 AED(自動体外式除細動器)の普及を背景に、「自分でも助けられる」と思い、参加する人が増えているという。今年6月に東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件でも、講習を受けた市民が積極的にけが人を手当てしており、救命の輪が広がっている。 今年4月、東京都世田谷区の都立砧公園。自転車に乗っていた川崎市の会社員・中島一彦さん(41)は、すれ違った中年の男性が突然倒れたことに気付いた。うつぶせの男性をあおむけにすると、男性の呼吸は止まり、意識もなくなっていた。 過去に2回救命講習を受けていた中島さんは心臓マッサージを始め、周囲にいた人が、公園内の施設にあったAEDを持って来て操作を行った。男性は息を吹き返し、かけつけた救急隊員に引き渡された。中島さんは「周りの人が声をかけてくれたので心強かった」と振り返る。 都立板橋有徳高校2年の本間たまえさん(17)は昨年1月、帰宅途中、路上に倒れていた高齢の女性を発見。近くにいた男性に通報を頼むとともに、自ら気道確保や心臓マッサージを行った。本間さんは中学校で応急講習を受けた経験があった。女性はその後亡くなったが、遺族から感謝された本間さんは「講習を受けていたので、すぐに行動できた」と言う。 総務省消防庁などによると、2004年から医療従事者以外でもAEDが使えるようになったことで、全国各地の消防署や関連団体が実施する救命救急の講習会の参加者が増え始めた。同年に約112万人だった参加者は06年には約146万人に。07年は約157万人と過去最高で、10年前と比べ2・5倍となった。 東京消防庁の委託を受け、都内各地で講習会を重ねる財団法人「東京救急協会」の指導員・相馬浩さん(67)は「企業の研修だけでなく、身近な家族を助けたいと、自ら進んで参加する人が増えているのが最近の傾向」と話す。また、昨年全国で病院に搬送された心肺停止状態の患者の約4割は、家族など市民による応急処置を受けていた。 今年6月に秋葉原の歩行者天国で発生した無差別殺傷事件でも、複数の通行人がけが人の手当てに奔走した。現場に居合わせた埼玉県内の大学生は、事件の3か月前に消防署の救命講習を受けていた。同協会では人工呼吸時の感染予防用の救命グッズなどを販売しているが、この事件以降、さらに売れ行きが増しているという。同協会の清武直志指導課長は「救命現場で多くの人が処置方法を知っていれば、協力して取り組むことができる。救命講習にぜひ参加してほしい」と呼びかけている。 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081018-OYT1T00417.htm
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