凄い医学の進歩だと思います。脳低温療法を行った方の8割もの人が社会復帰を果たされている事は素晴らしい・・・。
大きな変革期を迎えた救命救急医療の最前線、病院へ運ばれた患者に効果を見せる「脳低温療法」を密着取材しました。
心肺停止から15分以内が常識とされた蘇生の限界点が、いま変わろうとしている。 日大医学部救急医学の長尾 建准教授は「脳死になる方は少なくなると思います。脳死になろうとする人を救ってますから」と話した。 東京・駿河台日大病院に、通勤途中に心肺停止で倒れた50代のサラリーマンの搬送依頼が入った。 日大病院に到着した時点で、倒れてからすでに36分間が経過していた。 ただし、現場で救急救命士がAED(自動体外式除細動器)と呼ばれる電気ショックをかけて、心拍は再開しており、心肺停止時間は25分間だった。 男性は、医師の呼びかけにまったく反応せず、危険な兆候を見せていた。 救命救急センター長を務める長尾准教授は、切り札である脳低温療法を指示した。 長尾准教授は「意識が悪いということで、ハイポサーミア(脳低温療法)の適用ということで、来てからすぐに冷やしだしています」と話した。 脳低温療法とは、ダメージを受けやすい脳を冷やすことで、後遺症や脳死を防ぐ治療法。 コイル状のチューブを通り抜けていくのは、男性の血液。 これは、日大救命救急センターが独自開発した「KTEK-III(ケイ・テック・スリー)」という冷却パックを使ったシステム。 患者の血液を人工透析の機械で循環させながら、通常の体温より2〜4度下げた血液を脳に送り込んで冷やす。 この方式で、心停止の患者に劇的な成果を上げてきた。 長尾准教授は「これ(KTEK-III)は、肺動脈の血液の温度ですから、ほとんど頭(脳)に行っている血液の温度は、この温度になります」、「(脳低温療法をしないと、この患者はどうなる?)最悪の場合は亡くなるでしょう。その次の段階は植物状態になる」と話した。 この男性は、まず2日間、34度まで下げた状態をキープし、その後、3日間かけて平温の36度に戻す治療方針が決まった。 現在、心臓が原因で突然死する日本人は、年間およそ5万3,000人。 これまでは、15分以内に心拍が再開しないと、後遺症や脳死となるとされていた。 しかし、脳低温療法が、この定説を大きく変えようとしている。 長尾准教授は「一番のメリットは、冷やすことによって、全体の体の細胞の代謝に抑制をかけるということですね」と話した。 脳低温療法の開始から2日目、脳を冷やすため、男性は体温34度で維持されていた。 すると、その影響で、寒さを感じて手足が震える「シバリング現象」が出てきた。 長尾准教授は「頭(脳)の方で、体の震えをつくって、熱を上げるんです。ということは、脳機能としては、まだそういう(体温調節)機構が残っていると」と話した。 シバリングを抑えるため、鎮静薬などを投与し、変化しやすい体温を医師、看護師、臨床工学技師ら、チーム全体で管理していく。 この男性のように、心停止した1万人を対象にした調査によると、脳低温療法を行わなかった患者の社会復帰率は38%。 これに対し、日大病院が脳低温療法を行った患者(搬送前に心肺再開ケース)の80%が、社会復帰を果たしていた。 脳低温療法の開始から6日目、冷やしていた脳の状態を調べるため、脳波測定を行った。 その時、男性は、なぜか強引に起き上がろうとし、看護師の制止も、まったく耳に入らない様子だった。 ただし、脳波に異常は認められず、脳低温療法は終了した。 男性の社会復帰は、この段階では未知数だった。 ニュースJAPANが、全国201の救命救急センターを対象にアンケートを行ったところ、脳低温療法を実施しているのは116施設、全体のおよそ6割程度であることが、初めて明らかになった。 脳低温療法から1年、男性はリハビリの末に社会復帰を果たし、自分が倒れた現場を訪れた。 心停止で脳低温療法を受けた山本泰弘さん(50代)は「ここですね、倒れたのは。心臓がプルプルと震えて、脳に血流が行かなくなって倒れた。後遺症がないので、非常に助かります」と話した。 山本さんは、25分間心臓が停止していた状態から、脳低温療法によって生還した。 ただし、全国すべての救命救急センターで同じ治療を受けられるわけではない。 心停止した患者が、ある地域ではこの治療法で助かって、別の地域では助からないという「命の地域格差」ともいうべき現実は、早急に改善が望まれる。 大きな変革期を迎えた救命救急医療の最前線、「脳低温療法」を密着取材しました。 (7/24 00:42)
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